Vol.37マスネ
マスネ社(フランス)
1870年 アルザス・ヴァル ド ヴィレに蒸留所設立
マスネの歴史は創業者ジャン=バティスト・マスネがヴァル ド ヴィレに蒸留所を設立した1870年まで遡ります。彼の蒸留酒造りのノウハウは、その後マスネが辿る150年の輝かしい道筋を開き、子々孫々に受け継がれてゆきました。蒸留所長となった二代目ウジェーヌ・マスネはその製法に磨きをかけ、業界の寵児となりました。そして三代目ガブリエル=ウジェーヌにより、その名声は海外にも広まり、マスネは世界的ブランドに成長しました。世界初のフランボワーズ オードヴィー
1913年、ウジェーヌ・マスネは前衛的な独自製法を編み出し、赤い果実の女王と呼ばれる野生のフランボワーズを世界で初めて蒸留することに成功しました。この発明はすぐさま驚異的な成功をもたらします。肺病の治療で暫しアルザスのホーヴァルトを訪問し、滞在中にこのオードヴィーの虜となったスウェーデン女王の寵愛を受け、スウェーデン王室御用達となったことも成功に拍車をかけました。このため、マスネ社のレターヘッドや文書、カートンには長くスウェーデン王室の紋章があしらわれていました。世界的ブランドへ飛躍
3代目ガブリエル=ウジェーヌは1950年代にマスネを世界的ブランドへと成長させました。先見の明を持つ彼は、大局的な見地からガストロノミー界の高名なブランドへと接近します。マスネの優れた品質が、フロ、ボファンジェ、ル ピエ ド コション、マキシム、ルノートル、トゥール ダルジャンといった名店に認められてゆくことで、やがてマスネは名だたるミシュラン星付きレストランのシェフ達から厚い信頼を置かれるブランドとなりました。ヴェルジェ、トロワグロ、ラムロワーズ、エーベルラン、ブラン、そしてマスネにとって最高のアンバサダーとなり、特にアジア市場拡大の原動力となったボキューズ。フランス・ガストロノミー界の「教皇」であり、フランス料理の伝道師として世界を股にかける彼のスーツケースには、幾多の最高のフランス産食材と共にマスネのオードヴィーが収められていました。 ガブリエル=ウジェーヌが80年代に開催された第1回免税品見本市へ投資を行ったことが功を奏し、免税店でもマスネは存在感を増してゆきました。エールフランス、ルフトハンザ、スイス航空、英国航空、サベナ・ベルギー航空、キャセイパシフィック航空、シンガポール航空などの世界の航空会社でも採用が続きました。父の輸出への冒険の旅には娘マノウも加わり、世界各国を飛び回り、5大陸の数々の有名店にマスネを拡げて行きます。やがてマスネの高級オードヴィ・リキュールの販路は、世界100か国以上へと拡がりました。数々の逸話が彩る栄光の150年
マスネはかつてコンコルド機中でも提供され、カンヌ映画祭では公式パートナーとしてフランボワーズとポワールのオードヴィーを提供し、ジスカールとシラク政権下では大統領官邸エリゼへ幾年にも渡りマスネ製品を納入しました。 また、マスネのオードヴィー、クレーム&リキュールは、蒸留所を訪れた幾多のセレブ達の舌を唸らせました。アラン・ドロン、ジェリー・ルイス、バーバラ・カートランドをはじめ、枚挙にいとまがありません。 ブリジット・バルドーの大のお気に入りはオードヴィ・フランボワーズ・ソバージュで、有名な邸宅「ラ・マドラグ」から定期的に注文をしました。彼女が親切にもガブリエル=ウジェーヌにサイン入り写真を送った時、蒸留所は大騒ぎとなったそうです。 1870年アルザスでの創業以来、独自のオードヴィー造りを150年に渡り受け継ぎ、世界的ブランドとして名声を馳せるマスネ社。高い品質を誇るマスネ社の数々の逸品は、現在も各界より絶大な信頼を得ています。