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歴史と文化が生み出したフランスノルマンディを代表する名酒
歴史と文化が生み出したフランスノルマンディを代表する名酒
Vol.23 グヨ カルバドス/レリティエ グヨ社(フランス)
自然の恩恵が文化を育むフランス、ノルマンディ
美しい稜線と豊かな大河に恵まれ、フランスでも有数の酪農地帯として知られるノルマンディー地方。8世紀末に北方のバイキング(ノルマン)がノルマンディ公国を建国したことにその歴史ははじまり、古都ルーアンの街並みやモン・サン・ミッシェルのベネディクト派修道院、バイユーのノートルダム大聖堂など名所をあげれば枚挙にいとまがなく、先の大戦では上陸作戦の舞台としても有名になりました。また、カマンベールチーズの産地としても知られます。
甘美なる人生を過ごすためにリキュールをたしなむことは、彼の地ではごく日常的なことで、ジャムやパン・ド・エピス(ジンジャーブレッド)とならんで、昔から各家庭で受け継がれてきた伝統のひとつです。13世紀頃、商業船の往来によりシードルアップルの挿し木が伝わると、ノルマンディーを中心にフランス全土でシードル(りんごを原料とした醸造酒)が造られるようになります。
そして同地方カルバドスでは16世紀頃には、シードルを蒸留したブランデー、すなわちアップルブランデーが作られていたと、当時の日記からも知ることができます。このノルマン・アップル・ブランデーはフランス革命後の市場の自由化にともない、フランス国内に広く知られることとなりましたが、首都に近い有名産地の名に由来し「カルバドス」の名称で呼ばれることとなりました。アップルブランデー、カルバドスの誕生です。
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あまりにも有名なメーカーのもう一つの顔、カルバドス
レリティエ・グヨ社。言うまでもなくフランス最大手のリキュールメーカーで、カエルのマスコットとともに「クレーム・ド・カシス ド・ディジョン」はあまりにも有名ではないでしょうか。
カエルのマスコットは1950年、ミネラルウォーターでおなじみヴィッテル社の「ヴィッテル(に混ぜて)カシスを飲もう」という広告キャンペーンに対し、レリティエ・グヨ社がユーモアとウィットに富んだアイデアで応戦し「純粋な水はカエルに残して、クレーム・ド・カシスを飲もう」という広告を打ち出したのですが、その時のポスターに数匹のカエルが描かれていたことから、パリジャン達に好意を持って受けいれられ、今日では当時のポスターが文化遺産として認定され、ノベルティの灰皿とともに博物館に保存されるほど、文化的にも高い評価を得ています。
第二次世界大戦のレジスタンスの英雄であり、1945年、ディジョン市の市長に就任したキャノン・フェリックス・キール枢機卿のレセプションや公式行事でアペリティフとして飲まれ、一躍世界に広まる事となった「キール」、白ワインの代わりにシャンパンを使った「キール・ロワイヤル」。これらのカクテルの材料となるクレーム・ド・カシスの製造において、ヨーロッパでナンバーワンのシェアを持つレリティエ・グヨ社は、1845年、ジャン・バプティスト・レリティエとその妻、クロディーヌ・グヨによって創設されて以来、一貫して高品質のリキュールの製造に携わってきました。
そしてこの、フランス屈指のリキュールメーカー、レリティエ・グヨ社のクレーム・ド・カシスにならぶもう一つの顔が、先にお話ししたノルマン・アップル・ブランデー「カルバドス」なのです。
文化遺産となっているポスター。
レリティエ・グヨ社のカエル。
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比類なき純粋性を誇るカルバドスのアロマ
レリティエ・グヨ社のカルバドスは、原産地統制呼称制度(A.O.C.)で制定された地域で育った原料のみを使用します。過去において、数百種類にものぼるりんごの品種から作り出されたシードルアップルにはスイート、ビター、ビタースイート、サワーと4つの種類がありますが、バランスの良いカルバドスを造るためにはこれらの種類を巧みにブレンドしなければならず、ここにも熟練の技と知識が息づきます。
こうした行程ののち天然の手法で発酵させ、良く乾燥させたオーク材で作られた樽で、最低5年もの間熟成させたシードルを使い、さらに2回の蒸留をへてカルバドスは作られます。
木に含まれるタンニン類の成分により着色され、セラー内の空気と交わることで酸化され、ゆっくりと時間をかけて香りとふくよかさを増していきます。この行程からも察せられるとおり、カルバドスは香りを非常に大切にしたお酒で、飲んだあとも、さわやかなりんごのアロマが口の中いっぱいに残り、何とも言えない幸せな気持ちへと誘います。
そして、その長い歴史と独特のアロマゆえ、製菓の世界においても多大なる人気と信頼を博しているのも、至極当然のことと言えるでしょう。特産のリンゴをカルバドス風味にしてから、生地に混ぜて焼いたノルマンディー地方発祥の「ガトゥ・ノルマン」、タタン姉妹が間違えてタルト生地を上にのせてしまったという挿話でおなじみの「タルト・タタン」などはあまりにも有名です。
メイプルシロップ、レモンジュース、オレンジジュースでシェークした「ジャックラビット」、グレナデンシロップ、レモンジュースでシェークした「アップルジャック」など、カクテルの世界でも、その繊細で爽やかなアロマが好まれ使用されています。カルバドスにカマンベールチーズをつけ込んだ「カマンベール・ド・ノルマンディ」は、チーズ好きはもちろんワイン好きにも愛されている逸品です。
創業当時の技術者たち。
かつてのレリティエ・グヨ社 社屋。
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日本でのシェアが物語る高品質、信頼の証明
 ここ日本においてカルバドス、なかでもレリティエ・グヨ社のカルバドスは一般にも広く認知されたフルーツブランデーと言えます。製菓店のアトリエの棚に並んでいるのはもちろんのこと、バーカウンターのブランデーのコーナーを見れば、すぐにそれとわかるでしょう。
肩の張ったシャープなラインが特徴のボトルに濁りのない琥珀色の液体。白地のラベル、そしてそこには程良い大きさの真っ赤なリンゴのイラスト。"DEPUIS1845"の文字はその長い歴史と信頼され続けてきた品質の証と言えます。普段口にしているケーキやカクテルの香りづけに、カルバドスはそっとその真価を発揮しているのです。
また、料理の世界においてもその実力は高く評価され、豚肉をつけ込みソテーしたり、ラム肉を加え煮込んだりとフレンチを中心に独特の世界を作りあげています。
フランスが生んだ逸品のひとつ、今では不変の文化と言えるほどに昇華されたレリティエ・グヨの名酒カルバドス。先人の知恵と手間を惜しまずゆっくりと造り出されるこの丁寧なお酒が、現代に生きる私たちの心にほんのひとときの至福の時間を与えてくれるのも、素直に納得のいくことでしょう。
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